シマダヤ IR Report 2025年株主通信

シマダヤ IR Report 2025年株主通信

Top Interview トップインタビュー

シマダヤ株式会社
代表取締役 社長執行役員インタビュー

シマダヤ株式会社 代表取締役社長執行役員 岡田賢二
  • 上場から1年を迎えられた今の所感をお聞かせください。

    おかげさまで、当社は上場から1年を迎えることができました。これまで支えてくださったお客さま、お取引先さま、そして株主の皆さまに心より感謝申し上げます。
    上場という節目は、当社にとって「新たな責任の始まり」であると実感しています。
    この1年、社会からの信頼に応え、企業としての説明責任を果たすための基盤づくりを進めてきました。経営の透明性を高めるとともに、成長のための土台を着実に固めることができたと考えています。

  • 上場後に感じられた社内外の変化をお聞かせください。

    最も大きな変化は、社内外の「期待の高まり」を肌で感じたことです。上場によって多くの方に当社を知っていただく機会が増え、社員の意識も大きく変わりました。市場や株主の皆さまからの評価を意識するようになり、「自分たちの仕事が社会の信頼と結びついている」という自覚が生まれ、品質向上や業務効率化を自律的に考える風土が根付きつつあります。
    一方、社外からは上場企業としての開示姿勢やガバナンスへの期待が高まり、当社への信頼と同時に、経営品質の一層の向上が求められていると感じています。これらの期待を真摯に受け止め、社会的責任を果たす企業であり続けたいと考えています。

  • この1年で注力された取り組みについて教えてください。

    まず、ガバナンス体制の強化に注力しました。取締役会の実効性向上や内部統制の整備、社外取締役の意見を反映するプロセスの明確化など、上場企業としての経営基盤を整備しました。
    また、当社は、2025年3月期より3カ年の中期経営計画「Change95」をスタートし、基本方針として「コア事業の『深化』と『利益成長』に挑戦し、収益構造を変革する」ことを掲げております。「Change95」の経営戦略は、家庭用チルド事業の収益改善、国内業務用冷凍事業の売上拡大、成長マーケットである家庭用冷凍及び海外冷凍事業のフレーム構築であります。あわせて、生産物流体制の再構築、人材育成の強化、DXによる効率化に取り組み、持続的成長に向けた仕組みづくりを着実に進めています。

  • 今後の成長戦略についてお聞かせください。

    当社は、創業100周年に向けた「Growth100」構想のもと、収益性の高い事業への経営資源の集中と事業ポートフォリオの転換を進めていきます。これまでの安定的な家庭用チルド事業中心の構造から一歩踏み出し、今後はより成長性・収益性の高い事業領域へとシフトしていく考えです。具体的には、国内業務用冷凍事業を引き続き強化するとともに、市場の成長が見込まれながらもこれまで十分に着手できていなかった家庭用冷凍および海外冷凍事業の拡大に注力していきます。
    当社は、冷凍麺事業を次なる成長エンジンと位置づけ、生産物流体制・人材育成・ブランド強化を通じて、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

  • 最後に、株主・投資家の皆さまへメッセージをお願いします。

    当社は、創業から94年にわたり培ってきた品質へのこだわりとブランド価値を大切にしながら、上場企業として新たな一歩を踏み出しました。株主・投資家の皆さまからのご支援とご期待にお応えすべく、持続的な成長と企業価値の向上に向けて、全社員一丸となって取り組んでまいります。
    麺食を通した価値創造を使命に、誠実で透明性の高い経営を実践し、社会から信頼される企業であり続けることをお約束いたします。今後とも変わらぬご理解と温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

Feature 特集

成長マーケットへの挑戦

成長マーケット開発事業部長
村上 久

当社は現在、拡大が見込まれる国内家庭用冷凍市場および海外市場を成長マーケットと位置づけ、当社の新たな成長ドライバーとしての確立を目指し、積極的な事業拡大に取り組んでいます。冷凍麺市場のポテンシャルを踏まえ、商品や販売戦略を強化するとともに、環境変化に機動的に対応する体制として、「成長マーケット開発事業本部」を新設しました。

今回、同事業本部の取り組みや戦略、今後の展望を、成長マーケット開発事業部長の村上氏に聞きました。

家庭用冷凍・海外それぞれの市場動向や戦略を教えてください。

家庭用冷凍市場への積極的な参入

家庭用冷凍麺市場は、コロナ禍以降の家庭内調理需要の増加を背景に、「簡便性」「美味しさ」「買い置きのしやすさ」が評価され、右肩上がりに拡大しています。コストパフォーマンスや品質の高さが支持を集め、特に若年層や単身世帯中心に需要が広がっています。
家庭用冷凍麺の商品は、素材麺と具付き麺に大別されます。素材麺はコストパフォーマンスの高さに加えて、電子レンジ調理が可能な利便性が生活者に浸透し、市場が拡大しています。一方、具付き麺は、具材・スープ付きの個食完結商品であり、外食店の味の再現や豪華具材を訴求した商品やレンジ調理専用商品などの新商品の投入が活発です。こうした動きを受け、市場の拡大は今後も続くと見込まれます。
当社は麺専業メーカーならではの高い製麺技術と配合技術を強みに、麺そのものの品質と独自技術を訴求できる素材麺に注力しています。一方、具付き麺では独自価値にこだわった商品力の強化を進め、「品質」と「ブランド」の両立を図りながら、中長期的な市場開拓と安定成長を目指しています。

家庭用冷凍市場

冷凍食品総生産金額推移
冷凍食品総生産金額推移のグラフ
  • ※ 一般社団法人 日本冷凍食品協会/国内生産実績2020年〜2024年
2024年冷凍麺品目別国内生産
2024年冷凍麺品目別国内生産の表
  • ※ 一般社団法人 日本冷凍食品協会/品目別国内生産量・金額

海外市場の無限の可能性

海外市場では、インバウンド需要の拡大や日本食ブームを背景に、うどんやラーメンなどの日本の麺類が注目を集めています。訪日をきっかけに日本食の魅力を知り、自国でも味わいたいというニーズも高まっており、今後も海外における日本食市場のさらなる成長が見込まれます。
当社は、冷凍うどんを中心に日本のめん食文化の普及に取り組むとともに、重点国での販売体制強化やパートナー企業との連携を進め、売上拡大と市場プレゼンスの向上を目指しています。中国や韓国メーカーが競合となるなど、国内市場とは異なる競争環境にありますが、当社の強みを最大限に発揮し、シマダヤブランドの浸透を図っていきます。

日本食レストラン数・訪日外客数推移

日本食レストラン数・訪日外客数推移のグラフ
  • ※ 日本政府観光局(JNTO)/国籍/月別 訪日外客数 (2013年〜2024年)
  • ※ 農林水産省/海外における日本食レストラン数の概数 (推移)/海外における日本食レストランの国・地域別
日本食レストラン数・訪日外客数推移の表
台湾での展示会
アメリカでの展示会

今後の展望と意気込み

家庭用冷凍市場・海外市場の双方で、当社が培ってきた「麺づくりの技術」と「品質へのこだわり」を軸に独自の価値を提供し、「おいしい笑顔」を世界に届けたいという想いのもと、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。

New 新商品紹介

  • 家庭用チルド

    「もちもち」鍋焼うどん
    天ぷら・きつね・カレー

    「もちもち」鍋焼うどん 天ぷら 「もちもち」鍋焼うどん きつね 「もちもち」鍋焼うどん カレー
    この情報は2025年8月現在のものです

    開発担当者

    家庭用事業部
    奥原正道

    昨年発売した商品のめんとつゆを抜本的に見直し、天ぷら・きつね・カレーの3種類のラインナップで新発売しました。

    賞味期限100日間の常温商品でありながら、めんの配合を見直すことで、なめらかで“もちもち”とした食感と、つゆなじみの良さを実現しました。煮込んでも美味しくお召し上がりいただけます。

    天ぷら・きつねの添付つゆは粉末から液体に変更し、かつおだしが香る醤油ベースに仕上げました。カレーは豚肉のコクとスパイス感をアップさせ、より濃厚な味わいとなっています。

  • 家庭用冷凍

    冷凍 シマダヤの本ごし中華めん3食
    (北海道産小麦使用)<ミニダブル>

    冷凍 シマダヤの本ごし中華麺3食(北海道産小麦使用)<ミニダブル>
    この情報は2025年9月現在のものです

    開発担当者

    成長マーケット開発事業部
    羽田麻衣子

    自身がほぼ毎日冷凍食品全般を利用する中で、チルド売場にある素材中華めんが冷凍商品にはないことに着目し、“解凍時間30秒の便利な中華めん”を忙しい現役世代向けに新たに開発しました。北海道産小麦を使用し、独自の配合と製麺技術により、煮込んでも伸びにくく冷やしてもなめらかな食感を実現しました。

    お鍋のシメに凍ったまま入れたり、電子レンジで手軽に調理でき、忙しい毎日におすすめです。

  • 業務用冷凍

    「真打」ふわごし博多うどん
    (九州産小麦使用)<ミニダブル>

    「真打」ふわごし博多うどん(九州産小麦使用)
    この情報は2025年3月現在のものです

    開発担当者

    業務用事業部
    鈴木雄介

    外食うどん市場では、コシを重視した品質が主流で価格競争が激化する中、九州の柔らかい食感が特徴のうどんチェーンが全国展開し、注目を集めました。そこで当社は、九州の老舗から新店までうどん店を巡り、味の探求を重ねました。その結果、柔らかさの中にも強い粘りを持つ新しい食感の潮流を発見。その中でも特に印象的だった「ふわっとした口当たりと中心部分のコシ」を再現すべく試作を重ね、当社独自の技術で商品化に成功しました。

Topics トピックス

  • Topics 01

    個人投資家向けIRセミナー@大阪

    2025年9月12日、大阪にて岡田賢二社長が日本証券新聞社主催「個人投資家向けIRセミナー」に登壇しました。上場後初の対面IRイベントとなり、約200名の投資家の皆さまに会社概要や決算状況、成長戦略をご説明しました。質疑応答では多くのご質問と温かくも厳しいご意見をいただき、今後の成長への期待を実感しました。現在、家庭用チルド事業の収益改善を重点戦略とし、京阪神でのシェア拡大を進めています。より多くの方に当社の商品を知っていただけるよう努めてまいります。

    個人投資家向けIRセミナー@大阪
  • Topics 02

    個人投資家向けIRイベント@東京

    2025年9月26・27日の2日間、「東証・日経IRフェア2025」にブース出展しました。ブース内のミニ説明会では岡田賢二社長も登壇し、個人投資家の皆さまと近い距離で交流することができました。また、看板商品の「流水麺」や株主優待品も展示し、「いつも食べているよ」「株主優待品美味しかったよ」という温かいお声をたくさんいただきました。個人投資家や株主の皆さまからのご質問にも丁寧にお答えし、直接お話ができる貴重な機会となりました。今後もこうした機会を大切にし、より多くの方に当社の魅力が伝わるよう、積極的にコミュニケーションを広げてまいります。

    個人投資家向けIRイベント@東京
  • Topics 03

    子育てサポート企業としての取り組み

    この度、当社は「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得しました。「くるみん認定」は、次世代育成支援対策推進法に基づき、仕事と子育ての両立に関する一定の基準を満たした企業に対し付与されるものです。当社においては、同法に基づく行動計画に掲げた育児休業取得率の維持・向上への取り組み実績等が評価されました。

    子育てサポート企業としての取り組み